ナポレオン狂

阿刀田高「ナポレオン狂」

短編小説というよりショートショートという印象の、短くも切れ味鋭い13編。表題作は、ナポレオンゆかりの品のコレクターに、自分をナポレオンの生まれ変わりと信じている男を引き合わせる話。ブラックユーモアに富んだ一編。

直木賞受賞時の選評には、エスプリや技巧派という言葉が使われている。今となっては新しさはないが、当時は新鮮だったのだろう。著者本人は、自作について「作り物」という表現を使っている。フィクションの楽しさがつまった短編集。

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