奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」
出生直後に病院で取り違えられた二人の少女とその家族の17年にわたる克明な記録。
血液検査がきっかけで取り違えが発覚した後、両家族は小学校入学を目前に再び子を交換する。6年の月日は重く、子供たちは実の親にも新しい環境にも馴染めず、互いの家庭を行き来する不安定な交流が続く。
奇妙な大家族状態を経て、1人の少女は産みの親と生きる道を選び、もう1人の少女は血を捨て、一人で生きながら育ての親に報いる道を選ぶ。
子は育つ環境を選べないが、やがて絆を選びなおす時が来る。ノンフィクションとは思えないほど重い。