沢木耕太郎「凍」
山野井泰史、妙子夫妻によるギャチュンカン北壁登攀の記録。
下山時の細かな描写が圧巻。悪天候につかまり、吹雪、雪崩、宙づり、岩壁に張り付いてのビバーク、そして疲労の中、徐々に視力が失われていく。
生還を果たしたものの、二人は凍傷で両手足の指の多くを失うことになった。
読み終えて最も印象に残ったのは、二人の心の自由さと、自由だからこその精神力、深い信頼関係。
ノンフィクションは当事者によるものと、第三者によるものに分かれるけど、当事者にしか書き得ない記録もあれば、人物像など外から書くことによってより際立つものもある。