通天閣

西加奈子「通天閣」

孤独なおっさんと、捨てられた女。通天閣を挟んで緩やかに交錯するさえない二人の日常。日々に閉じ込められ、狭い視野にとらわれていた二人の視界が最後にぱっと広がり、温かみのある苦笑いをしてしまうラスト。人物も物語も輪郭がとてもはっきりしていて、かつ嫌みがない。通天閣って、実際はそこまで存在感が無いけど、そのさえない優しさがこの物語にふさわしい。

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