坂東三津五郎「踊りの愉しみ」
坂東三津五郎「歌舞伎の愉しみ」の続編、踊り版。
変化舞踊などの見た目に面白いものを除くと、舞踊の魅力は自分も含め初心者には分かりづらい(最大の理由は、長唄や清元といった邦楽に普段から親しんでいないことだろうけど)。 どんな稽古を受け、何を考えて踊っているのか、明快な語り口で曲ごとのポイントも交えながら語っていく。
日本舞踊は役柄の中で踊られる。台詞はなくとも芝居の要素が強く、振りの一つ一つに意味がある。「歌舞伎の愉しみ」で舞踊家の踊りは技術に終始しがちという指摘をしていたが、時代物の立役をしつつ、舞踊の名手とも言われた三津五郎ならではの芸談。名人と言われた六代目菊五郎、七代目三津五郎らの話がよく出てきて、芸がいかに受け継がれてきたのかも分かる。