オイディプス症候群

笠井潔「オイディプス症候群」

ミステリーだけど、現象学的な思索や蘊蓄がこれでもかというほど詰め込まれ、上巻は50ページで済むストーリーを500ページ書いている印象を受けるほど。悪い意味ではなく。

明らかにフーコーがモデルの人物が出てきたり、ギリシア神話からドストエフスキー、ベンサム、フランツ・ファノンまで、フィクションの中にいろいろな要素が元ネタを明示せずに引用されていて、それを読み解くのも面白い。ワトソン役のナディアの、推理、崩して、再び推理……の繰り返しの執拗さは息が詰まるほど。風貌も思想も完全にフーコーのミシェル・ダジールと主人公駆の議論が面白い。「生-権力」とか、パノプティコンとか、ミステリーを読んでる気がしない。

ただ、高校生か大学生の頃なら刺激的に感じてはまっただろうけど、最近はしんどさが勝ってしまう……

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