周防大島昔話集

宮本常一「周防大島昔話集」

宮本常一が祖父や両親から聞いた話を中心にまとめた昔話集。ブラッシュアップされていない、聞き取ったままの昔話はオチも教訓もないものが多いが、そのシュールさが面白い。解釈を拒むのが本来の物語の有りようなのだろう。他の地域や落語と共通するような話もあって興味深い。

宮本常一が「世間師」と呼ぶような人たちが物語を運び、それぞれの家で語られていくうちに多くのバリエーションが生まれていったのだろう。日本の口承文学の豊かさに改めて目が開かれる思いがする。擬音の使い方が面白いものも多い。

「瓜がとんぶくとんぶく流れてきた」

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