ミチオ・カク「パラレルワールド ―11次元の宇宙から超空間へ」
宇宙論入門。始まりのゆらぎから、遥か未来の宇宙の終焉まで。量子論、相対性理論、ひも理論を丁寧に解説しつつ、SF小説や古典など大量の文芸作品を引用していて、著者の博識ぶりに驚かされる。
全くの専門外なので、書いてあることをそのまま受け止めて感心するしかできないけど、マルチバースとか、宇宙は11次元に浮かぶ膜だとか、地球上の元素の多くが宇宙の彼方の超新星爆発で飛んできたとか、ビッグフリーズを迎える宇宙からの脱出の考察とか、この宇宙の物理法則が物質が存在しうる奇跡的なバランスの上に成り立っていることとか、書いていけばきりがないけど、溜息の連続。
自分の想像力、発想力を遥かに超えた世界像を目の前に突き出され、前衛芸術に触れたような興奮がある。時々この手の本が無性に読みたくなるけど、これはボリュームと分かりやすさではトップクラスの一冊。