古川隆久「昭和天皇 『理性の君主』の孤独」
昭和天皇関連の資料は近年明らかになったものが多く、それらの研究を踏まえた丁寧な一冊。立憲君主制と国際協調、徳治主義を理想とし、それ故に孤独に悩んだ一生がはっきりと浮かび上がる。
「聖断」を下すことができた場面と、下すことができなかった場面。側近には戦争を避けたい気持ちを露わにしながら、なぜ最終的に開戦を防げなかったのか。
青年期に受けた教育や欧州外遊時の思い出を通じて、昭和天皇自身の思想や信念の分析に特に力を入れていて読み応えがある。
読んだ本の記録。