岡田暁生「西洋音楽史 ―『クラシック』の黄昏」
いわゆる「クラシック」の前史も含めた西洋音楽の通史。とても分かりやすく、読み物としても面白い。作曲家や名曲の解説は少なく、音楽がどう変化して現在の形になったか、音楽と社会の関係がどう変わってきたか、という内容。
単旋律だったグレゴリオ聖歌に別の声部がつけられ、音楽が垂直に広がり、やがて楽譜として「構築する音楽」が生まれる。
バッハは王権志向の華美な時代にあって例外の存在だったという指摘など、バロック=バッハというイメージではどうもすっきりしなかった部分も腑に落ちた。ストラヴィンスキーやシェーンベルクを経て、西洋音楽が必然的に、前衛音楽と、「名曲の名演」の追求、ポピュラー音楽に三分化していく経過も分かりやすい。