島田荘司「占星術殺人事件 改訂完全版」
以前はミステリーはほとんど読まなかったけど、有名作家の作品くらいは一通り読んでおこうと3、4年前から少しずつ読み始めて初島田荘司。「新本格」の火付け役となったミステリー史に残る名作。
40年前の未解決事件について、ひたすら会話による考察が続くという大胆な構成だが、それで500ページ以上を一気に読ませてしまう。さまざまな可能性を次々と否定していって、最後に明かされるトリックはシンプルだが完璧。トリックの見事さというミステリーの醍醐味を味わえる傑作だが、某人気漫画に同じトリックが使われているため(もちろんこの小説が先)、それを読んだことがあると途中で真相に気づいてしまうのが難点。