すべてがFになる

森博嗣「すべてがFになる」

20年ほど前のベストセラーを今さらながら。

舞台は孤島の研究所。幼少期に両親を殺し、隔離されたまま研究を続ける天才少女と、その突然の死を巡って物語は進む。プログラミングや理系の学問の素養のある人は、タイトルや序盤の会話に隠されたヒントに気付くかもしれない。

探偵役の大学助教授、助手役の女子学生、犯人、そして研究所の人々。常人離れした頭脳と個性を持つキャラクターたちは魅力的だが、一方で共感は難しい。特に終盤、天才の思考は常人には理解できない、という一言で犯行の動機が片付けられてしまい、ミステリーとしてはやや消化不良の読後感が残る。

インターネット黎明期の1996年の出版とは思えないほど、ネットワーク社会の到来を描いており、出版当時に読んでいたら、かなりはまったかも。

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