終の住処

磯崎憲一郎「終の住処」

中年男の卑小な自意識。妻との会話がなくなり、不倫を繰り返す“彼”。結婚しても、親子でも、本質的には他人としての関係は何も変わらない。改行が殆ど無く、固有名詞が出てこない文体は狙ったのだと思うけど、内容自体はありきたりで、グロテスクさも中途半端。ただ、原因と結果、時間軸が混乱しただらだらとした描写は、閉じた意識の流れを描いたものとしてなかなか迫ってくるものがある。

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