彫刻と戦争の近代

平瀬礼太「彫刻と戦争の近代」

戦時の彫刻作品について美術史で語られることはほとんどないが、実際には彫塑関係の展覧会は活況を示していたという。芸術家の戦争協力というだけの論なら新しくはないが、美術品や公共のシンボルなど位置づけがあいまいな彫刻からの視点はなかなか新鮮。

モニュメンタルなものへの関心の高まり、資材不足によるセメント彫刻の発展、大政翼賛体制で実現した文学と彫刻のコラボレーション、何でもない銅像が供出で伝説に、彫刻家のアトリエは軍需工場に……など、興味深い内容がいろいろ。

戦意高揚のシンボルは戦後、一部は撤去され、一部はそのまま平和の象徴と読み替えられた。

後半ちょっと駆け足で終わってしまった感じもするけど面白い。

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