男ともだち

千早茜「男ともだち」

主人公の女に対して同棲中の恋人が漏らす「男ともだちか」「いや、なんかずるい響きだなって」という言葉に物語の要素が凝縮されている。とにかくいろいろとずるい。序盤は「あとかた」のように器用な印象が先に立ってしまったが、イラストレーターである主人公の創作に対する悩みも含めて、著者自身の切実さのようなものが感じられ、だんだんと引き込まれた。

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