宮本常一の写真に読む失われた昭和

佐野真一「宮本常一の写真に読む失われた昭和」

日本中の村という村を歩き、十万点の写真を残した宮本常一。民家の軒先や畑、林……写真家ではなく、あくまでメモとして写したものなので「写真」としての質が高いわけではないが、それらの写真は土地の人々がどんな生活をし、自然の中でどう労働してきたのかを雄弁に伝えている。

風景には必ず人の営みと意志の痕跡がある。宮本は「自然は寂しい。しかし人の手が加わるとあたかかくなる。そのあたたかなものを求めて歩いてみよう」と書いた。そんなまなざしを自分も持ちたいと思う。

余談だが、これらの写真の風景が、ネパールやペルーで見た風景に驚くほど似ているのは、地形的にも人種的にも文化が似ているからだろうか。

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