山猫の夏

船戸与一「山猫の夏」

南米の田舎町、いがみ合う両家の娘と息子が駆け落ち――というと「ロミオとジュリエット」のようだが、こちらはずっと凄惨。追跡のために呼ばれた山猫と呼ばれる日本人を中心に展開するハードボイルドな冒険小説。ヴェローナの両家は子供達の死で和解するが、この作品の舞台エクルウでは両家は殺し合いに突入し、そこに腐敗した軍や警察の欲望が交錯する。スケールの大きさに圧倒されつつ、700ページ超の大部を一気に読了。

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