幽霊はここにいる・どれい狩り

安部公房「幽霊はここにいる・どれい狩り」

安部公房の初期戯曲集。どれも安部公房のエッセンスが見事につまっていて、さらに、なぜ演劇に足を踏み入れたのかがはっきり分かる作品となっている。

ウエーという人間そっくりの生物を巡る騒動を描いた「どれい狩り」。AがAであるという証明の難しさ。ある人間が人間であるということは証明できるのか。

幽霊の存在に踊らされる町を描く「幽霊はここにいる」。見えないものにこそ踊らされてしまう人の滑稽さ。自らが信じていない存在さえも商売に結びつけようという騒ぎを通じて、資本主義の空虚さも笑い飛ばしてしまうのがいかにも安部公房らしい。資本主義批判なんて今更だが、安部公房の作品は新鮮さを失っていない。

コメントを残す