風姿花伝

「風姿花伝」

観阿弥の教え、世阿弥の書。

世阿弥は能の美を花に喩え、花を知るために種=技芸を知るよう説く。

「花のあるやうをしらざらんは、花さかぬ時の草木をあつめてみんがごとし」
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民藝とは何か

柳宗悦「民藝とは何か」

本当の美は日用品の中にこそ宿る。昭和初期に民藝運動を提唱した柳宗悦。歯切れが良く、読んでいて気持ちが良い。

「なぜ特別な品物よりかえって普通の品物にかくも豊かな美が現れてくるか」 「前者の有想よりも後者の無想が、より清い境地にあるからです。意識よりも無心が、さらに深いものを含むからです。主我の念よりも忘我の方が、より深い基礎となるからです。在銘よりも無銘の方が、より安らかな境地にあるからです。作為よりも必然が、一層厚く美を保証するからです。個性よりも伝統が、より大きな根底と云えるからです。人知は賢くとも、より賢い叡智が自然に潜むからです」
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ヘンな日本美術史

山口晃「ヘンな日本美術史」

画家の目線から、西洋の写実とは違う「日本美術」の面白さを柔らかい語り口で説いた一冊。

透視図法とは違う、段階的な奥行き。横顔に正面を向いた目、後ろから見た耳、キュビズムのように次元が混在した描写。西洋近代以降の画法になれてしまった目には、中世などの絵の魅力は分かりづらいが、それは人間の感覚からすれば、ただ見たままを書くよりも真実に近いのかもしれない。
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小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾、村上春樹「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

クラシックにはそれほど詳しくないし、小澤征爾指揮の演奏を聴き込んでいるわけでもない。それでも、このインタビューにはかなり引き込まれた。

カラヤンやバーンスタインとの思い出から、マーラーへのこだわり、サイトウ・キネンでの活動、若い世代への指導……。生涯をかけてひとつの事に打ち込んできた人から出る魅力が言葉の端々に。
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