愛の夢とか

川上未映子「愛の夢とか」

著者らしい、さまざまな手触りの作品が収録された短編集。

「アイスクリーム熱」「愛の夢とか」「いちご畑が永遠につづいてゆくのだから」「日曜日はどこへ」「三月の毛糸」「お花畑自身」「十三月怪談」の7編。

自分の言葉とリズムを持ちつつ、作品ごとに、さまざまな作家の影響も見え隠れする。海外作家の短編風の表題作、村上春樹っぽい「三月の毛糸」、サスペンス風味の「お花畑自身」など、収録作の中でも人によって好みは大きく分かれるのでは。人の感想を訊いてみたい一冊。

個人的に印象に残ったのは「十三月怪談」。若くして先だった妻と残された夫の物語だが、さまざまな感情や人生の不条理、おかしみが詰まっていて、奥行きがある。

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