Another2001

綾辻行人「Another2001」

学園ホラー×本格ミステリーの「Another」(2009年)、「Another エピソードS」(13年)に続くシリーズ最新作。前2作の3年後、おなじみの夜見山北中学を舞台に、スケールアップした“災厄”が登場人物たちを襲う。人気作の続編だが、期待を裏切らない面白さ。800ページ超を一息に読み終えた。

ホラー作品には、現実離れした設定がつきもの。そこで「あり得ない」と興醒めになるものもあれば、あり得ないからこそ想像力が刺激されることもある。「Anotherなら死んでた」がネットスラングとして流行った本シリーズは、まさに後者だろう。「死に引き込まれやすくなる」という“災厄”の設定が秀逸。

夜見山北中の3年3組で繰り返される、“災厄”と呼ばれる現象。新年度になると同時に「死者」が生者のふりをしてクラスに紛れ込み、クラスの関係者に悲劇が続く。「死者」は誰なのか。どうすれば死の連鎖は止まるのか――。「2001」では「エピソードS」に登場した少年、想が“災厄”に立ち向かう。

第1作は「死者は誰なのか」という点でフーダニット型の本格ミステリーでもあったが、本作では主要な謎の一つが最序盤に明かされることから、ミステリーとしてはホワイダニット型に近いかもしれない。最終作となる予定の次作「2009」への期待も高まる。

  

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