笛吹川

深沢七郎「笛吹川」

戦国時代の甲州、笛吹川沿いに生きた農民一家の物語。

生きて死ぬ人の営みを淡々と形容詞や比喩をほとんど用いない文体で綴る。主人公がいない。理由もなく、予想外のタイミングで人が死ぬ。それどころか登場人物の行動の理由がそもそも説明されない。希望も無いし、そこには絶望すら無い。

視点が俯瞰的な語り手から各人物へ、自在というより、唐突に動く文体がドライさに拍車をかけている。話自体も人間の描写も非現実的なようで、近代小説の定型を崩していると言う点では徹底してリアリズムということもできる気がする。

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