サン=テグジュペリ「ちいさな王子」
光文社の新訳。「星の王子さま」で知られる内藤濯訳を読んだのは中学か高校の時だったから良く覚えていないけど、この新訳は童話調の表現を廃したシンプルな文体で、物語の芯がよりはっきり浮かび上がっている。70年前の作品というのが信じられない。大人向けの寓話としてはこれ以上のものは存在し得ないだろう。
「大切なものは、目には見えないんだよ」
「時間をかけて世話したからこそ、きみのバラは特別なバラになったんだ」
「自分がなつかせた相手に対して、きみはいつまでも責任がある。きみはきみのバラに責任があるんだよ……」