オノ・ヨーコの詩集。想像してごらん、と呼びかけるジョン・レノンの「イマジン」は、「グレープフルーツ」として1964年に出版されたこの詩集に着想して書かれた。
「序」に、疎開していた戦時中、弟と食べものの想像をした記憶が綴られている。その想像は空腹をまぎらわせただけではなく、苦しい生活に彩りを与え、そしてその後の人生の支えにもなったのだろう。
「~なさい」という短い言葉がひたすら続くこの詩集は、読み手の想像力に直接訴えかける。想像力を働かせたら世界は変わる。少しずつでも。
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地下水の流れる音を聴きなさい。
心臓のビートを聴きなさい。
地球が回る音を聴きなさい。
想像しなさい。
千の太陽が
いっぺんに空にあるところを。
道を開けなさい。
風のために。
さわりなさい。
飛びなさい。
約束しなさい。
この本を燃やしなさい。
読みおえたら。