曽根圭介「鼻」

後味の悪い短編3本。いずれも設定と構成が秀逸。

表題作は、人間が外見で「ブタ」と「テング」に二分された社会が舞台。迫害を受ける「テング」の子供の転換手術を依頼された医師の視点で物語が進む。そこに少女の行方不明事件を追う刑事の話が挟まれ、やがて二つの物語が意外な形で繫がる。

併録の「暴落」は、人間の価値が全て株式市場で評価、売買される社会で、エリートから転落した男が主人公。自身の株価をどう維持、上昇させるかという駆け引きの面白さに引き込まれる。「受難」は、目覚めたら空き地で一人拘束されていた男の物語。不条理なスリラー。

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