花の脇役

関容子「花の脇役」

歌舞伎の名脇役たちの話。歌舞伎の舞台がどう作られているのか、いかに芸が継承されてきているのか、幹部役者の芸談だけでは分からない部分を聞き出している。

門閥が絶対の歌舞伎の世界では、脇役は一生脇役だが、そこにも歌舞伎の歴史と同じだけ、芸の工夫が積み重ねられている。さらに彼らは代々の幹部役者に仕え、間近で後見や相手をつとめてきたことから、その芸を誰よりもよく知り、先代の芸を次代に伝える役も担ってきた。

決して主役をつとめられない悲哀を感じさせながらも、舞台が好き、そしてそれ以上に役者の世界、楽屋が好きで、彼らはそこでしか生きられなかったことが伝わってくる。

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