名著「カラシニコフ」などで知られ、ザ・外信記者という経歴・実績を持つ著者の回顧風ノンフィクション。イラク、パレスチナ、ソマリア、エチオピアなど、食にまつわる思い出を軸に、それぞれの国家の問題とそこに生きる人々の息遣いをつづる。
食べものを書くことは人間を書くこと。食卓を書くことは、社会や文化を書くこと。戦下のイラクの食堂や、カラシニコフ氏との食事など、一つ一つのエピソードがどれも印象的。
著者は国家の動乱期を取材し、その後もそれぞれの土地では大きな変化が続いた。あとがきで、少なくない土地の人々の消息がつかめなくなっていると書かれているのが悲しい。