背高泡立草

古川真人「背高泡立草」

第162回(2019年下半期)芥川賞受賞作。長崎の島を舞台とした家族の物語。納屋の草刈りをするために帰省した家族のとりとめのない会話に、過去の光景が挿まれる。

誰にでも、どの土地にも歴史がある。道端に落ちているちょっとしたものにも過去の記憶や物語が存在する。著者の描き出そうとしているものには非常に共感する。

一方で、文学的に綴られたノンフィクションと言われれば頷いてしまいそうな内容で、フィクションでしか表現できないものがどこにあるのかということは考えさせられた。

「縫わんばならん」などに連なるサーガの一篇。他も読まねば。

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