万延元年のフットボール

大江健三郎「万延元年のフットボール」

久しぶりの大江作品。とにかく過剰。描写も要素も醜悪さも希望も。

万延元年の一揆を通奏低音とした作品だが、要約が不可能なほど主題が入り組んでいる。

安保闘争の影など時代を色濃く感じさせる一方で、井戸や理不尽な暴力など、次の世代である村上春樹的なものの原型も多数見えている。混乱しつつも、かなり長い射程を持った作品で、改めて67年の作品と考えると結構な驚き。

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