深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン

沢木耕太郎「深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン」

最終巻。長い旅は終え時が難しい。著者は前巻で旅を人生に喩え、何を見ても新鮮な幼年期、青年期から、通り過ぎた景色ばかりが鮮明となる壮年期、老年期があると書いているが、この最終刊に書かれているのはまさに壮年期から老年期。イタリアからフランス南部に入り、旅の最終目的地ロンドンが目の前に迫る中、旅を終える決断を先延ばしにしてスペインへ。イベリア半島を横断し、その果てのサグレスで、ふっと「これで終わりにしようかな」という瞬間が訪れる。

6巻を一気に読み終え、自分も旅をしたような心地よい疲れがある。読んで面白い旅行記は他にもあるけど、この読後感はあまり無い。

コメントを残す