西南シルクロードは密林に消える

高野秀行「西南シルクロードは密林に消える」

忘れ去られ、密林に消えた西南シルクロード。中国からビルマに密入国し、カチンやナガのゲリラの手引きでジャングルを横断し、インドへ。あまりに無謀な旅なのに、深刻さや悲壮感があまり無いのが著者らしい。

“ジャーナリスト”だったら、この地域の少数民族の苦悩やアヘン汚染を書き連ねるのだろう。それは確かに重い側面だが、実際にそこに生きている人々には、いい加減で馬鹿げた日常もある。色眼鏡無しにそこに踏み込んでいって文字に残すのは、なかなか難しい。

「アヘン王国潜入記」と並ぶ、エンタメノンフィクションの白眉の一冊。

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