500冊以上(!)の著書があるという多作な作家だが、これまで作品に触れたことが無かった。これは静岡のローカル線、天竜浜名湖鉄道を舞台にした作品で、十津川警部シリーズの一冊。
読点と繰り返しの多い文章には独特の雰囲気があるが、「トラベルミステリー」と呼ばれるジャンルを確立した作家だけあって、テンポ良く移り変わる場面を追っていくだけで、あっという間に読み終わる。
トリックらしいトリックも無いし、推理小説としては決して奥行きのある内容ではないが、それを期待して読むシリーズではないだろう。東京から天浜線沿線まで次々と場面が移り変わっていくのは、それだけで楽しい。