しろいろの街の、その骨の体温の

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」

読みながら気分が沈んでいく。ただ中学、高校で“強者”として生きてきた人には全くピンとこない小説だろう。

こじらせた初恋の物語。といっても最近よく使われるコメディチックな「こじらせ」ではなく、歪んで、暗く、痛々しい。

拡大していくニュータウンに、主人公の少女の身体の成長が重ね合わせられる。やがてその街は、不景気で開発が止まり、中途半端なまま放置される。

思春期の子供は、自分の位置づけに敏感だ。自分より下がいることに安堵しつつ、自分も同類と見られないか、嘲りの標的にされないか常にびくびくして教室で過ごしている。容姿に自信が無い主人公の少女は、自分の点数が低いことを痛いほど知り、ひっそりと暮らすことを自分に課している。自我を守るために他者の振る舞いを必死に観察し、その観察という鎧で身を守り、自尊心を慰める。分け隔てをしない幼なじみの男子に惹かれても、蔑まれる立場のものには恋することすら許されない。

ラストは救いがあるが、そこまで共感して読んできた身には、まさか夢オチかと警戒するくらい綺麗すぎる終わり方だった。ただフィクションなのだから、これで良いのかもしれない。現実を突きつけられるだけなら、現実で十分か。

奇抜な設定や人間像でディストピアを描くことが多い作家だが、こうした身近な生きづらさを描いた作品の方が心に残る。

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