ゲームでも小説でも、ファンタジー作品の魅力を大きく左右するのが、自分がその世界に行ったら、という妄想が捗るかどうかだと個人的には思っている。その点で著者の作品はその妄想が非常に楽しい。
主人公は34歳の女性。路上のくじ引きをきっかけに、10の願いをかなえることができる「スタープレイヤー」として異世界に飛ばされる。その世界には他にもスタープレイヤーがいて、スタープレイヤーの願いで地球から連れてこられた人々も現地民とともに暮らしている。
立派な庭園を造って一人で暮らしていた主人公だが、そこに他のスタープレイヤーが現れ、やがて国家の争いに巻き込まれていく。
小中学生の夢想のような話だけど、設定と展開が秀逸。特に、1度の願いに文章形式で要素をいくらでも盛り込むことが可能という、バランスを壊してしまいそうな設定が展開をダイナミックにしている。
続編の「ヘブンメイカー」は、まさに創世記。日々に疲れた大人向けの異世界転生もの。