スワン

呉勝浩「スワン」

ショッピングモールで起こった無差別殺傷事件。3人の犯人のうち1人は仲間割れで殺され、2人は自殺し、事件は幕を下ろしたかに見えた。

最大の殺戮現場となった展望ラウンジで生き残った2人の女子高生。犯人に気に入られ、他の被害者を見捨てたとして世間から非難の集中砲火を浴びた少女の視点で小説は進む。

あの日、ショッピングモールで何が起こっていたのか。生き延びた5人が謎の茶話会に集められたところから本格的に物語が始まる。それぞれの語る嘘は少しずつほころび、真相が明らかになっていく。次第にミステリーというより人間ドラマの様相が強くなっていく。

世間の悪意の描き方が類型的すぎる(これは大抵のエンタメ作に共通するけど)気はするものの、読み応えのあるサスペンス。

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