ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

英国の公立学校に通う息子との日々をつづったエッセイ。

著者は英国の“最底辺保育所”で働いた経験を持つライター。イエローでホワイトでもある息子は、落ち着いたカトリックの小学校に通っていたが、あえてさまざまな社会階層の子が集まる“元底辺中学校”への進学を選ぶ。その学校生活を通じて、英国社会のさまざまな問題が浮き彫りになる。同時に、教育のおいて本当に必要なことは何かを考えさせられる。

ブレグジットの問題に象徴されるように、英国社会の分断は深刻化している。人種差別、移民に対する差別というより、緊縮政策が生んだ格差を背景とした階級差別、教育の程度や思想面での対立という色合いが強い。白人の移民の子がアジアやアフリカ系の移民を差別し、そのことでより社会的立場が上の白人から差別される。

そうした不条理を目の当たりにしながら、鋭い感性を持ち、真っすぐに育っていく少年の姿に勇気づけられる(著者の考えが投影された描写もあるかもしれないけど)。

教育論は大人やマクロの視点で語られがちだが、ミクロの視点、子どものまなざしで考えるヒントになる一冊。

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