ローレンス・ライト「倒壊する巨塔 ―アルカイダと『9・11』への道」
アルカイダのトップ、ビンラディンとザワヒリの人生を幼年時代から追いながら、同時多発テロに至る過程を描く。
イスラム原理主義の誕生から、土建屋の空虚な熱情が先鋭化し、ジハードとしてアメリカに標的を絞るまで。人物に焦点を当てることでハンチントンの「文明の衝突」のような粗雑な理解とは対照的な9・11への道を浮き彫りにしている。
スーダンを追われたビンラディンのアフガニスタンへの「聖遷」。近づくテロの影。アルカイダを追うFBI捜査官ジョン・オニールの物語。FBIとCIA、組織の論理が事前の対策をとらせなかった。
よくこれだけの取材をして、まとめたものだと思う。9・11を理解する上で最良の本。