カルロス・カスタネダ「ドン・ファンの教え」
ヤキ族の呪術についての民族誌の形をとりながら、完全なフィクションという指摘もある不思議な本。幻覚性植物の体験が延々と綴られ、読み終えると別の世界を見てきたようで、すーっとする。
それぞれの民族にとって世界は違った形をしている。時間の流れも、死と生の境目も、人間と非人間の区別も異なる世界がある。
ドン・ファンは、いかに“知者”になるかを説く。いかなる道も道にすぎず、知者は心ある道を行く。知者の4つの敵は、恐怖、明晰さ、力、老齢。その旅は死ぬまで終わることはない。