この人の閾

保坂和志「この人の閾」

著者の小説は変わっていて、物語的な起伏がほとんどないだけでなく、登場人物の散漫な会話や日常生活がだらだらと綴られるものが多いのだけど、平易な文体と相まってそれが心地良く、いつまでも読んでいたいという気にさせられる。登場人物のとりとめもない思索は、不思議と読み手の思考も刺激する。
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12万円で世界を歩く

下川裕治「12万円で世界を歩く」
「12万円で世界を歩くリターンズ」

 

近年、旅の景色は大きく変化した。

名著「12万円で世界を歩く」が刊行されたのは1990年。東南アジアからアメリカ、シルクロード、ヒマラヤまで、毎回、往復航空券代含め12万円で世界各地を旅するという雑誌の企画で、著者の旅行作家としてのデビュー作でもある。
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日本の中のインド亜大陸食紀行

小林真樹「日本の中のインド亜大陸食紀行」

インドの食文化について書かれた紀行本やレシピ本は珍しくないが、本書のテーマは“日本の中のインド食文化”。アジア食器などの輸入販売を手がけている著者は、各地のインド料理店や食材店を巡り、異国に根付き、変化していく食文化を追う。
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