カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
設定も登場人物の行動も非現実的だけど、強く引き込まれる。悲劇的な設定とか後半の泣かせる展開はおまけと言っても過言ではない。子供時代を描いた前半、物語の種明かしを劇的にせず、徐々にさらっと流していくあたりが絶妙。
読んだ本の記録。
内田百間「阿房列車 ―内田百間集成1」
中身が全く無いのに面白い。最近エンタメノンフィクションという言葉が使われるが、その元祖とも言える。
石川淳の作品なんかを読んでも思うけど、日本文学の文体の豊穣さはいつの間に失われたのだろう。
「宮本常一」 ちくま日本文学22
未読の文章が何編か収録されていたので購入。夭逝した子について書いた「萩の花」が印象的。
“人は暗さの中にジッとしていられるものではない。暗い中に火をともそうとするものである。私はわが子が小さいながらもその火をともすものであってもらいたいと思った”
“「宮本常一」 ちくま日本文学22” の続きを読む