東野圭吾「容疑者Xの献身」
スリリングで一気に読んでしまった。物語のテンポの良さ、トリック、終盤のたたみかけるような急展開など、一級のエンターテイメント。ただ、いつものことながら、登場人物の行動にちょっとした違和感も。都合の良い場面で唐突に理解を超えたような愛とか執着が出てきて、純愛、泣ける、という評価には、うーん、という感じ。
読んだ本の記録。
猪瀬直樹「天皇の影法師」
東京日日新聞による世紀の誤報「光文」や、天皇の棺を運ぶ八瀬童子、「明治」「大正」に否定的で晩年を元号の考察に捧げた森鴎外の話など、天皇の崩御を巡る四篇のノンフィクション。
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沢木耕太郎「凍」
山野井泰史、妙子夫妻によるギャチュンカン北壁登攀の記録。
下山時の細かな描写が圧巻。悪天候につかまり、吹雪、雪崩、宙づり、岩壁に張り付いてのビバーク、そして疲労の中、徐々に視力が失われていく。
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奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」
出生直後に病院で取り違えられた二人の少女とその家族の17年にわたる克明な記録。
血液検査がきっかけで取り違えが発覚した後、両家族は小学校入学を目前に再び子を交換する。6年の月日は重く、子供たちは実の親にも新しい環境にも馴染めず、互いの家庭を行き来する不安定な交流が続く。
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