荒野へ

ジョン・クラカワー「荒野へ」

アラスカで餓死した青年。彼はなぜ荒野を目指したのか―。映画「Into the Wild」の原作ノンフィクション。

究極の自由は自分からの自由にしか存在しない。
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アヘン王国潜入記

高野秀行「アヘン王国潜入記」

当時世界最大の阿片産地だったゴールデントライアングルの農村で、芥子を栽培しながら7カ月過ごした破格の記録。

村に溶け込み、しかもアヘン中毒の“駄目な村人”に。

ビルマの少数民族についての貴重な報告でもある。ジャーナリスト的な思考に染まった人間にはこういうものは書けない。

困ってるひと

大野更紗「困ってるひと」

闘病記ながら、見事なエンターテイメント。

共感できる所もあれば、できない所もあるけど、そんなのは当然のこと。生きることは大変だけど、自分の生きている場所で、自分なりに頑張ろう、そういう気持ちになれる。
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ヤノマミ

国分拓「ヤノマミ」

南米アマゾンの先住民、ヤノマミ。

生まれた子を精霊としてそのまま天に返す場面に衝撃を受ける。死生観などの価値観は、想像ができないほど我々日本人と隔たっている。それでも同じ様な感情を抱く。それが人らしさなのだろう。
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幻獣ムベンベを追え

高野秀行「幻獣ムベンベを追え」

コンゴ奥地に生息するというモケーレ・ムベンベ。“誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く”著者の早大探検部時代の原点。

無謀だからこそ切り開ける世界がある。

イスラム飲酒紀行

高野秀行「イスラム飲酒紀行」

飲んで飲まれて見えてくるイスラム社会のもう一つの顔。人生はちょっと顰蹙を買うくらいが面白い。

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

角幡唯介「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」

チベットのツァンポー峡谷に残された未踏の5マイルに挑んだ記録。

石川直樹は神田道夫を題材に「最後の冒険家」という本を書いたが、この本からは現代でも“冒険”はし得るという強い思いを感じる。それはかつてに比べればずっと個人的なものだけど。

苦海浄土

石牟礼道子「苦海浄土」

読み終え、言葉が出ない。水俣の話だが、ルポでも聞書きでもない。ジャーナリズムでは絶対に出来ない記録と鎮魂と告発の仕方。

苦海そのものに生きる人々の語りは、逆説的に人間讃歌ですらある。

必生 闘う仏教

佐々井秀嶺「必生 闘う仏教」

インド仏教の先頭に立つ元日本人僧。煩悩も生きる力と言い切り、アウトカーストの解放に尽くす破格の人物。

現代日本の仏教からみれば「闘い」という言葉自体が異質だが、日本でも中世に日蓮や親鸞が出てきた時はこの人のような「闘う仏教」だったのだろう。

日本の路地を旅する

上原善広「日本の路地を旅する」

中上健次が「路地」と呼んだ非差別部落。

元が雑誌の連載ということもあってあっさり気味だが、それでも十分読み応えがある。これで終わりではなく、路地出身の著者自身の物語や、路地それぞれの今をもっと読みたい。