米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」
ミステリーというよりもホラーの連作短編集。「ラスト一行の衝撃」という帯は少し大げさだけど、各編とも終盤で登場人物の歪みが明らかにされて、途端にホラー作品になる。この著者の作品を読んだのはこれが初めて。衒学的なライトノベルって感じの文章で、巻末の参考文献に中野美代子の名前があって納得。
読んだ本の記録。
猪瀬直樹「天皇の影法師」
東京日日新聞による世紀の誤報「光文」や、天皇の棺を運ぶ八瀬童子、「明治」「大正」に否定的で晩年を元号の考察に捧げた森鴎外の話など、天皇の崩御を巡る四篇のノンフィクション。
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沢木耕太郎「凍」
山野井泰史、妙子夫妻によるギャチュンカン北壁登攀の記録。
下山時の細かな描写が圧巻。悪天候につかまり、吹雪、雪崩、宙づり、岩壁に張り付いてのビバーク、そして疲労の中、徐々に視力が失われていく。
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