村山斉「宇宙は本当にひとつなのか ―最新宇宙論入門」
暗黒物質とは。異次元とは。宇宙の何が分かっていて、何が謎なのか。非常に分かりやすく読みやすい一冊。
知識は無いけど、時々この手の本が無性に読みたくなる。著者の「宇宙の研究をしているととても謙虚な気持ちになります」との言葉通り、スケールの大きさに日常の些事がどうでも良くなる。精神安定剤にも。
読んだ本の記録。
色川武大「百」
家族との微妙な距離感を描いた短編集。「百」と「永日」は父との、「連笑」は弟との関係、「ぼくの猿 ぼくの猫」にはナルコレプシーで著者が生涯悩まされた幻覚が綴られる。博徒・阿佐田哲也としての無頼のイメージからは遠い、静かで誠実な私小説。
自分に、ここまで真っすぐ自らを見つめることができるだろうか。
“百” の続きを読む
菊地成孔、大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー ―東大ジャズ講義録」歴史編&キーワード編
講義録だが、むちゃくちゃ面白い。音源を次から次へと紹介しながら、軽妙な語り口で菊地・大谷史観とも言うべきジャズの歴史を編んでいく。これまで何となく聞いていたジャズが高度な記号性や論理を有し、それが商業性の中でどう変化してきたかがよく分かる。
“東京大学のアルバート・アイラー ―東大ジャズ講義録” の続きを読む