吉田修一「パーク・ライフ」
居心地が悪かったり、何か良い予感がしたり、時々、ふっと現実感が無くなったり。公園を舞台に、そんな現代の日常感覚を戯画化して描く。
ストーリーらしいストーリーは無いけど、悪くない雰囲気。
読んだ本の記録。
大野更紗「困ってるひと」
闘病記ながら、見事なエンターテイメント。
共感できる所もあれば、できない所もあるけど、そんなのは当然のこと。生きることは大変だけど、自分の生きている場所で、自分なりに頑張ろう、そういう気持ちになれる。
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乾ルカ「夏光」
スナメリの祟りでできた顔の痣。耳の奥から鈴の音がする少年……。
ホラーというより、不気味なタッチで世界の残酷さ、少年時代の切なさを描いた感じ。子供の視点が瑞々しくて、デビュー作とは思えない完成度の高さ。
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西村賢太「小銭をかぞえる」
自分の屑さを客観視し、エンターテイメントとして提示する。この視点はかつての私小説には無かった(というより、ここまであっけらかんとしていなかった)もので、読みながら共感はできないが、大変面白い。
町田康が解説で“自由の感覚”と呼んでいるのがしっくりくる。
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