賀曽利隆「アフリカよ」
1968-69年のアフリカ大陸をバイクとヒッチハイクで旅した記録。独立の熱気覚めやらぬ国から、紛争の続く土地、人気のない荒野まで。20歳の感性が瑞々しい。
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読んだ本の記録。
賀曽利隆「アフリカよ」
1968-69年のアフリカ大陸をバイクとヒッチハイクで旅した記録。独立の熱気覚めやらぬ国から、紛争の続く土地、人気のない荒野まで。20歳の感性が瑞々しい。
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瀬川拓郎「アイヌと縄文:もうひとつの日本の歴史」
近世以前の北海道というと、水稲耕作を中心とする弥生文化から取り残された土地というように考えてしまいがちだが、実際にそこに住んでいた人々は取り残されたのではなく、狩猟を下敷きとした交易を積極的に選んだ人々だったということを著者は明らかにしている。
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半藤一利「あの戦争と日本人」
1年前にkindleのセールで買ったまま積読(電子書籍ではなんと言えば……)していた1冊。
著者の論旨は明快で、日露戦争から日中戦争、太平洋戦争にかけて、国の指導者がいかにリアリズムを失っていったかに重点を置いて語られている。「統帥権の独立」を盾に「軍部が暴走」という単純な歴史観ではなく、参謀本部、内閣、世論がそれぞれに、ずるずると戦略無しの決断を重ねていった結果、引き返せない地点に至ったことを丁寧に明らかにしている。あの戦争は決して軍部という異常な存在が単独で引き起こした問題ではない。大衆、メディア、政治、どこにも大局的見地がないという問題は現在の日本にも重なる。
村田沙耶香「コンビニ人間」
ディストピア小説を書いてきた作者だが、この作品は身近でリアルな生きづらさを扱っている。
主人公は「普通」が理解できない女性。コンビニのマニュアルの中に安息を見つけ、大学生の時からバイトとして18年間生きてきた。「コンビニ店員として生まれる前のことは、どこかおぼろげで、鮮明には思い出せない」「そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった」。そんな女性に、周囲は遠慮のない疑問(なんで就職しないの? なんで結婚しないの?)をぶつける。「普通の人間」を演じない存在に、世間は容赦しない。「なんで?」という無邪気な(あるいは善意の顔をした)問いが「普通」へと人を追い詰める。でも「普通」を演じることは、人によっては簡単なことではないし、そもそも「普通」なんてあるのだろうか。
岩波書店辞典編集部編「世界の名前」
世界各地の名前に関する100のコラム。洋の東西を問わず、古代から現代まで。それぞれの地域の研究者が執筆しており、これだけバリエーションに富んだ専門家の原稿をそろえられるのは、さすが岩波。
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安岡章太郎「ガラスの靴・悪い仲間」
初期短編集。戦争を挟んで青春時代を過ごし、明確な価値基準や希望の存在しない日常を見つめる著者の視線は、村上春樹など二十世紀後半の文学作品にも通じる現代性がある。
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