大熊一夫「ルポ・精神病棟」
精神病院が「治療なき収容所」だった時代、その一つにアル中患者を装って入院したルポ。1970年に朝日新聞に連載されたもの。
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読んだ本の記録。
菅野完「日本会議の研究」
みんな知っているのに、みんなよくは知らない「日本会議」。そのルーツが新興宗教「生長の家」の学生運動にあり、現在もその人脈で政権を取り囲んでいることを丹念な資料調査で明らかにした労作。
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山口雅也「生ける屍の死」
死者が次々と蘇るという世界設定からして異色のミステリー。主人公が一度死んでからが本番という物語もぶっ飛んでいる。死者が蘇るため、アリバイも、証拠も、さらには動機も、全てが発想から変わってくる。普通のミステリーに飽きたという人には非常におすすめ。
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田中康弘「日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?」
マタギの取材を長年続けてきた著者が、西表島の猪から礼文島のトドまで、各地の猟に同行したルポ。日本人は決して農耕一色の民族ではない。むしろ何でも食べる。猟の方法も興味深いが、何より、その後の解体、調理の生き生きとした描写に引き込まれた。
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又吉直樹「火花」
お笑いの世界を舞台にしていること以外はストレートな青春小説(芥川賞の選考会で宮本輝が推したのもなんとなく納得)。自分だけが理解し、尊敬している師匠というモチーフも古典的だが、その師匠との会話を通じて、良い意味で青くさい人生論、お笑い論(創作論)になっていて心に残る。何より、作者が自分自身にとって切実なものを書いていることが伝わってくる。
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