楊逸「時が滲む朝」
天安門事件で民主化運動に挫折した学生の話だが、天安門事件や中国を描いた作品と言うよりは、普遍的な青春小説という印象。
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読んだ本の記録。
小林和彦「ボクには世界がこう見えていた ―統合失調症闘病記」
統合失調症の患者の手記。闘病記と言うよりは、幻聴、幻覚が本格的に始まる前の臨界期のことを書いたもの。
大学を卒業し、アニメーション制作会社に就職した頃から少しずつ、自分こそが世界の中心という妄想に陥っていく。些細な偶然に深遠な意味を読み取り、新聞記事やラジオの言葉が自分宛のメッセージと思い込んで、世界平和への使命感に燃える。脈絡の無い思考の中で〝世界の真実〟を掴んだ気になる。
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山本周五郎「ひとごろし」
勝ち目のない強敵を、遠巻きに精神的に追い詰めていく。臆病侍の上意討を描く表題作の「ひとごろし」はユーモアがあって、どことなく風刺も効いていて面白い。
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