石牟礼道子「椿の海の記」
「苦海浄土」以前の水俣、物心つくかつかないかの頃を描いた自伝的小説。
「この世の成り立ちを紡いでいるものの気配を、春になるといつもわたしは感じていた」
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読んだ本の記録。
石牟礼道子「椿の海の記」
「苦海浄土」以前の水俣、物心つくかつかないかの頃を描いた自伝的小説。
「この世の成り立ちを紡いでいるものの気配を、春になるといつもわたしは感じていた」
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高山文彦「火花 北条民雄の生涯」
「何もかも奪われてしまって、ただ一つ、生命だけが取り残された」と「いのちの初夜」で書いた北條民雄。
「社会的人間として亡びるだけではありません。そんな浅はかな亡び方では決してないのです」
癩を病み、23歳の若さで夭逝するまで生きることの恐ろしさを極限化した生を見つめ続けた。その作品は究極の所で、生を肯定する叫びとなった。
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高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」
圧巻。事実上の独立国家ソマリランド、海賊国家プントランド、そして無政府地帯。不可能と思えるような地域を旅してエンターテイメントに仕立てあげながら、氏族の構造や政治体制、歴史にまで踏み込んでいて、著者の取材力に脱帽。現在の“ソマリア”に関するほぼ唯一の日本語文献として、資料的な価値も高い。
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小林よしのり、中森明夫、宇野常寛、濱野智史「AKB48白熱論争」
メンバーの名前すらほとんど分からない立場で読むと、引いてしまうくらい熱のこもった対談(褒め言葉です)。
推す=成長を眺める楽しみは劇団など他の集団でもあるし、序列システムなどの完成度は宝塚の方が高いだろう。それでも、人気と金の相関性を隠そうとしない、それによってかえってオープンな公平性が保たれているというところに戦略の新しさがある。金で買える1票の方が思いが込められるとの言葉は民主主義の逆説として面白い。
AKB以前のアイドルグループが“一部を見せる”というフェイクドキュメンタリーだったのに対し、そういった作り込みをしないでソーシャルメディアに物語作りを委ねてしまうという根本的な違いにも気付かされた。
古川隆久「昭和天皇 『理性の君主』の孤独」
昭和天皇関連の資料は近年明らかになったものが多く、それらの研究を踏まえた丁寧な一冊。立憲君主制と国際協調、徳治主義を理想とし、それ故に孤独に悩んだ一生がはっきりと浮かび上がる。
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宮島直美「宝塚ファンの社会学 スターは劇場の外で作られる」
「社会学」と題しているけど、ほとんどがファンクラブの仕組みと“掟”の解説。しかし、それが面白い。
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