津村記久子「ポトスライムの舟」
仕事で小金を稼ぎながら、日々の細々とした生活に追われ、なぜこんなことをしているのか、その問いには答えが無いからこそ、それ以上考えない。働くことをテーマにした小説は基本的に好きじゃないけど、物語の彩りの無さ、主人公の生気の無さが逆に好感が持てる。文庫の裏表紙には「働くことを肯定したくなる小説」って書いてあるけど、それはちょっと違うだろう。
読んだ本の記録。
「旅行人165号 世界で唯一の、私の場所 《休刊号》」
一つの時代の終わりといっても大げさではないだろう。この雑誌が無くなってしまうのは本当に本当に寂しい。
最後の特集はライター、写真家、人類学者…etcのエッセイ集。どれも短いけど、それぞれの土地への思い入れが伝わってくる。
もちろん、この世に桃源郷なんてものは無いし、旅行者のセンチメンタリズムに過ぎないかもしれない。それでもそういう場所を持てる、世界には素敵な場所がたくさんあると思えるだけで、ずいぶんと幸せな気持ちになれる。
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